熱球ナイン

2014年12月号 運動連鎖

 野生動物のように躍動的にトラックを駆けぬけるボルト選手。時速160kmの速球を投げる大谷選手。彼らの身のこなしは見るものを魅了するような美しさがあります。人の体には約200個の骨と約400個の筋肉があり、これらが骨格を形成し神経系に統合されることにより、自然な体の動きを生み出しています。関節や筋肉が次々と連動することにより、一つの動作を生み出すことを「運動連鎖」といいます。

 スポーツにおけるフォームのほとんどは下半身から始動し、体幹を経由して上半身に連鎖していく動きです。この運動連鎖が無駄なく行われることにより、小さなエネルギーが爆発的な力を生み出すのです。つまり無駄のない美しいフォームは、理想的な運動連鎖がなされていることを意味し、高いパフォーマンスを成し遂げるのです。

 野球におけるバッティングフォームやピッチングフォームは、運動連鎖によるエネルギーの増幅という意味では、典型的な動作です。ここでは、どの関節や筋肉がどのように動き、連鎖していくのかを考えたいと思います。この時に基本になる考えとして『Joint by joint approach』という運動理論があります。この考えは関節を「動きを優先する関節」と「安定を優先する関節」の2種類に分類します。

①   バッティングフォーム

下半身において最大の関節は股関節であり、「joint by joint approach」の概念で股関節は動きを優先する関節にあたります。バッティング動作における“こしを回す動作“は股関節を動かすことにより、骨盤を水平に回旋させることを意味します。つまり、下半身から始動するバッティングフォームにおいて、股関節は最も重要な関節ということになります。

骨盤を水平回旋させるためには、右打者の場合、右の股関節は伸展、外転、外旋、左の股関節は、屈曲、内転、内旋します。

つまり、右の股関節にはおもに伸展筋としてハムストリング、大臀筋、外転筋として中臀筋、小殿筋、外旋筋として梨状筋、小殿筋などが活動しています。左の股関節にはおもに屈曲筋として腸腰筋、内転筋として大腿内転筋、内旋筋として中臀筋、小殿筋などが活動しています。両脚の役割は、骨盤が生み出した大きな回旋の力を有効に体幹から上肢に伝えるために、骨盤を地面に対して安定化させることです。腰椎は力を伝達するのみ、胸椎が回旋の力を増幅します。肩甲骨が支点となり、肩関節、肘関節、手関節は脱力の中で関節なりの動きをすることで、バットに力が伝えられます。関節なりの動きをすることで、上肢はさらなる回旋の動きを生み出します。

②   ピッチングフォーム

 ピッチングの最初の動作は、大きな位置エネルギーを得るために軸脚に体重をのせ、前脚を高く上げることです。この時、軸脚の股関節の動きを安定化しているのは、大腿内転筋、中臀筋、腰方形筋です。次に位置エネルギーは前方への並進エネルギーへと変換されます。この時重心は前下方へ移動します。前脚が地面に着いた後、骨盤は回旋運動を始めます。右投手の場合、右の股関節は伸展、外転、外旋し、左の股関節は屈曲、内転、内旋します。回旋のエネルギーは胸椎で増幅し、肩甲骨を支点として上肢に伝わります。この時、肩甲骨の動きが柔軟であればあるほど、レバーアームが長くなり大きなモーメントが生み出されます。肩関節、肘関節、手関節は脱力の中で関節なりの動きをすることで、屈伸運動と共に回旋運動を行い、ボールに力が伝えられます。

井上篤志副院長  専門は膝関節外科、スポーツ整形外科

*ストレッチの方法など詳しくは西岡第一病院のホームページをご覧ください。


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